五節句「七夕(たなばた)」
毎年7月7日は、言わずと知れた「七夕」です。
織姫の恩恵にあやかり、裁縫や機織り、芸事や書道などの上達を願う七夕は、桃の節句や端午の節句と並ぶ五節句の一つとしても数えられます。
また、七夕は、中国に古くから伝わる牽牛・織女星の伝説から発達した「乞巧奠 (きこうでん)」の行事に、日本古来の「棚機津女 (たなばたつめ)」の信仰が混ざり合って出来上がった風習です。
日本では、奈良時代の女帝・孝謙天皇の時代に、宮中で盛大に七夕行事が行われたという記録が残っています。
東の庭に蓆 (むしろ) を敷いた棚を立て、飾り棚の前で香を焚き、星を眺めながら管弦や詩歌の宴が開かれたそうです。
![七夕飾り[貴船神社 / 京都府京都市左京区]|暮らしのほとり舎](../_src/33828535/tanabata-kazari_kifune-jinjya_kyoto.jpg?v=1717582637690)
ところで、なぜ「七夕」と書いて “たなばた” と読むのでしょうか。
実は「たなばた」は、もともと漢字で “棚機” と書きました。
これは、「機織り」あるいは「機織りをする人」を意味する古いことばです。
本来、七夕とはお盆行事の一環でもあり、お盆の一週間前にあたる旧暦7月7日に、巫女(棚機津女)が神聖な機織り小屋の中で、農作をもたらす神の衣を織りながら待つ、という風習があったそうです。
「たなばた」とは “棚機津女” の略で、精霊棚とその機を安置するのが7日の夕方であることから、7日の夕で「七夕」と書くようになったとも言われています。
「棚機月 (たなばたづき)」は、旧暦7月の異称の一つにもなっています。
そして、新暦の七夕の頃といえば、あいにくの空模様が続く “梅雨” の時季。
七夕の日に降る雨を、再会が叶わなかった織姫と彦星が流す悲しみの涙になぞらえて「催涙雨 (さいるいう)」と呼びます。
長野県松本市を中心とする松本地方では、今でも月遅れの8月7日に七夕を行います。
その頃には梅雨も明け、天候も安定し、空も澄み渡っています。
また、旧暦の7月7日はほとんど立秋以降なので、「七夕」は “秋の季語” になっています。
七夕の行事食といえば、夏の風物詩でもある「素麺 (そうめん)」。
意外に知られていませんが、千年も昔から七夕の行事食となっていました。
これに倣って、我が家でも毎年7月7日は「素麺の日」と決めています。
季節の楽しみいろいろ
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